ミエリンマップ法|慶應義塾大学合同研究チームが開発
慶應義塾大学は2016年3月2日、MRIをつかって、脳脊髄の髄鞘の再生可視化に成功したと発表した。
MRIは、最近、すこし大きな病院ならたいてい設置している。そのMRIを利用し、約10分程度の短時間で撮影できるという。
再生可視化で神経難病、脊髄損傷治療に、ひかりがさすようだ。
新たなMRI撮影法:ミエリンマップ法は、
慶應義塾大学医学部生理学教室 岡野栄之教授、整形外科学教室 中村雅也教授、内科学教室(神経)鈴木則宏教授、放射線科学教室(診断科)陣崎雅弘教授らの合同研究チームによるもの。
成果は同日、「The Journal of Neuroscience」オンライン版に掲載された。
再生可視化で神経難病、脊髄損傷治療 前進
この成果は、
・多発性硬化症などの神経難病の診療
・さまざまな神経疾患や精神疾患などの評価
・脊髄損傷に対する神経再生医療の実現
などに役立つことが期待されます。
ミエリンマップ法|MRI・約10分程度の撮影で
日本で約2万人が苦しむ多発性硬化症は、脳脊髄の正常な機能に欠かせない髄鞘が崩壊と再生をくりかえす神経難病ですが、
これまで、くりかえす再生を可視化*するのは困難でした。
また、脊髄損傷のiPS細胞による神経再生医療でも、
機能回復に必要な「髄鞘再生を患者の負担なく可視化する方法」は確立しておらず、神経再生医療実現化の妨げになっていました。
今回、慶應義塾大学合同研究チームが開発したのは、
「多くの病院に設置されているMRIを使って約10分程度の短時間で撮影可能なMRI撮影法(ミエリンマップ法)」。
再髄鞘化の可視化で相関関係を確認
同大学病院に通院中の多発性硬化症患者を、ミエリンマップ法によるMRI撮影で検査したところ、髄鞘の挙動を正しく可視化できました。
とりわけ、これまでのMRIでは確認できなかった再髄鞘化が容易に可視化でき、多発性硬化症の症状と相関していることもたしかめられたことは、おおきな成果です。
*可視化とは:
人間が直接「見る」ことのできない現象・事象・関係性を「見る」ことのできるもの(画像・グラフ・図・表など)にすることをいう。 視覚化・可視化情報化・視覚情報化ということも。
by 慶應義塾、MONOistほか
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