保険適用になるのは、4月から
日本泌尿器科学会は2016年3月30日、記者会見で、
2016年4月から「ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術」に保険が適用されることを報告した。2012年に対象となった前立腺がんに続に続き2例目。
保険適用対象となるのは、
原発巣の直径が7cm以下で転移巣のない腎臓がんに対し、ダビンチ*などの手術支援ロボットで腎臓を部分切除する手術。
保険点数は7万730点(70万7300円)で、保険適用により患者負担は3割となる。
*「ダビンチ」とは
「ダビンチ」は、米インテュイティブサージカル社の手術支援ロボットの通称。
従来の腹腔鏡手術に比べて有利|阻血時間などで
日本泌尿器科学会理事長・神戸大学大学院 医学研究科 腎泌尿器科学分野 藤澤正人教授は、
「ダビンチなどの手術支援ロボットで腎臓を部分切除すると、
・術後に温存できる腎機能を左右する阻血時間(腎臓への血流を止める時間)
・ラーニングカーブ**
などで、従来の腹腔鏡手術に比べて有利であり、また、術後5年生存率(がんの根治性)も従来の術式と比べて「そん色ない」
と話した。**ラーニングカーブとは
ラーニングカーブとは、経験曲線のこと。
経験曲線は、学習曲線、習熟曲線とも呼ばれる。生産量や作業量が増えると、増えた分だけその製造や思考に対する経験則が積みあげられ、製造や思考、作業の効率が高まっていくという考え方。
「プロクター制」で安全性担保
治療の安全をより確実にするために、日本泌尿器科学会と日本泌尿器内視鏡学会は
ダビンチ支援手術の実施条件に関するガイドラインを制定。
「泌尿器ロボット支援手術プロクター」と呼ぶ指導医認定制度を設置。
各施設で1例目を実施するときはプロクターを招くよう求めている。
保険適応初年度|1000件ほどの実施を見こむ
保険適応初年度は「基準を満たす施設数を30~40と仮定すると、全体で1000件ほどの実施が見込まれる。将来は4000~5000件となることも十分に考えられる」と藤澤教授。
今後は、より難度が高いタイプの腎臓がんである腎門部腫瘍などへと、保険適用対象を広げることを目ざす。
参照:日経デジタル他
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