インフルエンザ脳症 byいらすとや
あなたのお子さんのインフルエンザワクチン接種、済んでいますか?
2019年1月22日長野県内の小学校に通う男子児童がインフルエンザに感染し、1月13日に死亡していたことが報道されました。
インフルエンザ感染で死亡したのは北信地方の男子児童。
1月11日の金曜日に登校した男子児童に体調が悪いようすはみうけられなかったそうですが、
同児童は二日後の13日の日曜日にインフルエンザ脳症で死亡しました。
そのとつぜんの死は、インフルエンザ脳症の怖さを、あらためてわたしたちに知らせました。
でも、インフルエンザワクチンを接種していれば、ほんとうに児童は亡くならずにすんだのでしょうか?
専門のサイト、医師のご意見を集め調べてみました。
インフルエンザ脳症ってどんな病気?
男児が急死したインフルエンザ脳症は、
インフルエンザの合併症のひとつで、
合併症の中でも最も重いのが、今回のインフルエンザ脳症です。
死亡率は約30%。後遺症も約25%の子どもに見られる、
重い疾患です。
意識障害や異常行動、さらには呼吸停止になることもあります。
インフルエンザ脳症は予防できる?
発症の予防には、インフルエンザワクチンの接種が有効です。
ワクチンにはインフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防することが期待されています。
日本では、インフルエンザワクチンの接種で、
65歳以上の健常な高齢者については、約45%の発病を予防、約80%の死亡を阻止する効果があったという報告があります。
小児については、1歳~6歳未満の幼児では発病を阻止する効果は約20~30%、
1歳未満の乳児では対象症例数が少なすぎて効果は明らかでなかったという報告がありますが、
いっぽう「インフルエンザワクチンを接種後罹患した場合の重症化防止には有効」
という報告があります。
なので、重症化・死亡の確率を下げ、避けるためには、
接種を選択したほうがいいのではないでしょうか?
インフルエンザワクチンの接種をおすすめするもうひとつのワケ
インフルエンザワクチンの接種をおすすめするもうひとつの理由は、
現在インフルエンザ脳症予防策はワクチン接種しかないという現実があるからです。
インフルエンザを発症、
その後、病原体が脳内まで侵入することで脳症になると考えがちですが、実際はそうではありません。
インフルエンザの診断を受けて薬を飲み始めるころには脳症は、すでに進行しているので、
薬では予防できないと考えられるのです。
したがって、「現在の予防策はワクチン接種しかない」ということなのです。
風邪での発熱時、市販の解熱剤使用は慎重に!|中川医師
解熱剤使用と脳症との関連が明らかになってきました。
発熱はインフルエンザの主な症状のひとつで、ウイルスに対する免疫反応の一部なので、
必ずしも解熱させなければならないものではないそうです。
以下、
国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科中川医師の文章からの引用です。
「39度以上の発熱があって、元気がなく、ぐったりしているようであれば解熱剤使用もやむをえないのですが、
解熱剤の使用の際、
アスピリン(商品名:バファリンなど)やメフェナム酸(ポンタールなど)、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレンなど)は使用しないでください。
インフルエンザに使用できる解熱剤はアセトアミノフェン(アンヒバ坐剤、カロナールなど)が主体です。
解熱剤の使用で不明な点があればかかりつけ医と御相談ください」
「毎年ワクチンを継続して接種」することは重要|河野教授
鹿児島大学病院小児診療センター 鹿児島大学医学部長 河野教授は、
「ワクチンを接種していても、多くの子どもがインフルエンザを発症している状況では、
接種をしてもしなくても一緒ではないか、と感じられるかもしれませんが、小児科医としてはそう思えません。
接種率が高くなったことで、インフルエンザ脳症の子どもは明らかに減少しているからです。
全国の小児科医は、ワクチンが乳幼児患者の重症化を防いでいると実感しています。
乳幼児は普通の発熱だけで熱性けいれんを発症するし、
熱だけでちょっとした意識障害や異常行動(せん妄)を起こしやすいので、
インフルエンザ脳症かどうかの診断は簡単ではありません。
脳症の場合には症状(意識障害や異常行動)が持続するといわれています。
インフルエンザ脳症を予防できる方法はワクチンしかないと考え、毎年ワクチンを継続して
接種することが重要です」
関連医療機関
●国立精神・神経医療研究センター病院
●鹿児島大学病院
インフルエンザ脳症ガイドライン|厚生労働省
基本、医師むけの内容ですが・・・。
インフルエンザ脳症ガイドライン|厚生労働省 インフルエンザ脳症研究班
参照・引用:一般社団法人日本小児神経学会サイト(国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科中川医師)
認定NPO法人こども医療ネットワーク理事長河野 嘉文(鹿児島大学病院小児診療センター)ほか
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