線虫と尿でがん検査ができる!?
15種類のがんについて、
からだにあるかないかが【1滴の尿】と【線虫】でわかる検査技術が開発され、
2020年2月から一部の医療機関で予約提供がはじまりました。
HIROTSUバイオサイエンスの【エヌノーズ(N-NOSE)】です。
いっぽう、現在、実証実験に入っていて1年~数年後の実用化をめざしているのは【血液1滴】で【13種のがん】のあるなしがわかる検査方法で、東芝が国立がん研究センターや国立長寿医療研究センターなど医療機関の協力を得て、実証実験段階にはいっています。
尿・血液いずれの検査も、臓器の特定については、2020年1月現在、まだできません。
がん早期発見、むずかしかった
「がんは早期に発見できれば、たいていのばあい大事にいたらない」といわれていますが、
これまでは、早期発見自体がむずかしかったので、
「がんの簡単な診断方法」の提供・実用化は、
ながいあいだ、わたしたちのゆめであり、念願でした。
その「がんの簡単な診断方法」が、
ついに実用化されました。
たった一滴の尿と線虫をつかった検査で【15種の臓器についてがんが在るか無いかがわかる】というもの。
2020年1月時点で、検出確率は、およそ85パーセントだそうです。
ちなみに、がん検診として有効性が確立している大腸がんの便潜血検査での感度は70%程度、二回受けてようやく85パーセントです。
「エヌノーズ」線虫がん検査とは
「エヌノーズ(N-NOSE)」の検査方法で重要な役割をはたすのは、「線虫」です。
犬の嗅覚は「人の100万倍~1億倍」ですが、
線虫は、その犬よりも、さらに鋭い嗅覚をもつ、体長1ミリほどの、土の中や海の中などに生息している生物です。
がん患者の尿を線虫のいるシャーレ内に置くと、多くの線虫が尿に向かって集まっていきます。
これは、がん患者の尿に含まれる、がん細胞特有のにおいが、線虫のえさとなる細菌のにおいに似ているからです。
しかし、がんのない人の尿には、線虫は近づこうとしません。
線虫の、この性質を利用して、尿の提供者にがんが在るか無いかを調べます。
線虫が反応するのは、15種類のがん線虫が反応するのは以下15種類のがんです。
線虫が反応することが分かっている15のがん種(2019年9月現在) 胃、大腸、肺、乳、膵臓、肝臓、前立腺、子宮、食道、胆嚢、胆管、腎、膀胱、卵巣、口腔・咽頭
以上15種です。
1度の検査で15種の臓器について、がんが「ある」か「ない」かが高い確率で分かるのです。
ステージ0から1までの早期がんでも、およそ85%の精度で見つけることができるということです。
「エヌノーズ(N-NOSE」検査費用
気になる「エヌノーズ(N-NOSE)」の検査費用は、およそ1万円。
*くわしくは、予約時、各医療機関にご確認ください。
日本人の死亡原因でいちばん多いのは「がん」
日本人の死亡原因でいちばん多いのが「がん」です。
しかも、一生のうちには2人に1人が、がんになるといわれています。
それなのに、肺がんでは、
国が年1回の受診を勧めている、「がんにかかる人数が増えはじめる40歳以上の人」いわゆるがん年齢世代のうち、
過去1年で検診を受けた人は、男性で5割、女性で4割。
なんと、半分以上のひとが受けていないのです。
検診を受けない理由として挙げられているのは、
1、時間がない
2、検診費用が高い
3、検査時、苦痛がある
など。
「エヌノーズ(N-NOSE)」は、上記1~3の理由をほぼ解消できる検査方法といえるようです。
「エヌノーズ(N-NOSE)」は「ふるい」の役割
線虫を使ったがん検査「エヌノーズ(N-NOSE)」の役割は、「がんのある・なしを、ふるいにかける」というもの。
2020年1月現在、
「エヌノーズ(N-NOSE)」で「受診者のからだにがんのある、なし」がわかるのは15種の臓器についてですが、
いまのところ、「どの臓器にがんがあるか」までは特定できません。
そこで、線虫を使った検査を開発した企業・HIROTSUバイオサイエンスが提唱しているのが、
「1次スクリーニング」という考え方です。
スクリーニングとは?:
ふるいわけ。健康な人も含めた集団から、目的の病気での発症者や、発症が予測される人を選別するための医学的なやりかた。
がん検診の前に、「1次スクリーニング」として、がんがあるかないかを、
・受ける人の時間をとらせず
・苦痛なく
・安価に
ふるいにかけることで、
その後の各臓器への検診をうながすというもの。
エヌノーズ(N-NOSE)で「がんあり」と結果が出れば、各臓器について検査を受ける強力なきっかけになるわけです。
線虫がん検査 予約開始
線虫がん検査「エヌノーズ(N-NOSE)」は、2020年1月、一部の医療機関で提供がはじまりましたが、
個人が受けるための予約は、すでに2月からはじまっています。
線虫がん検査エヌノーズ 取り扱い施設・医療機関
*上の「N-NOSE(エヌノーズ)」リンクをクリックして出るページの下部に
N-NOSE線虫がん検査取り扱い施設・医療機関の一覧があります
*2020年2月7日現在は以下の医療機関が掲載されていますが、こんご増えていくようです。
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医療法人エミリオ森口 芝浦スリーワンクリニック
〒105-0023東京都港区芝浦1-1-1 浜松町ビルディング1階プラザ111内 -
医療法人社団朋翔会 弥生ファーストクリニック
〒164-0012東京都中野区本町2丁目46番1号 中野坂上サンブライトツイン3階 -
医療法人社団 新町クリニック健康管理センター (4月受付開始予定)
〒198-0024東京都青梅市新町3-53-5 -
医療法人同愛会 小澤病院 (4月受付開始予定)
〒250-0012神奈川県小田原市本町1丁目1番17号 -
医療法人敬節会 西中島クリニック
〒532-0011大阪府大阪市淀川区西中島3-2-11 -
医療法人敬節会 敬節クリニック
〒573-0032大阪府枚方市岡東町12-3-402 -
特定医療法人弘医会 福岡鳥飼病院 (3月受付開始予定)
〒814-0103福岡県福岡市城南区鳥飼6丁目8番5号
「検査を受けることでこうむる不利益」を知って受ける
国立がん研究センター 中山富雄検診研究部長は、線虫がん検査「エヌノーズ(N-NOSE)」検査を受ける側の心がまえについて述べています。
「がんはあるけど、全身のどこのがんなのかわからない、といわれてしまうと、すべての検査が終わるまで安心できないことになります。
すべての検査をクリアするのは肉体的にも精神的にも、経済的にも大変なことです。
検査の結果によって自分の人生がどう変わるのか、どこに注意すべきなのか、その点に配慮したうえで受けていただければと思います」
「線虫がん検査(N-NOSE)」陰性でも、通常のがん検診は受けたい
医療やさまざまな検査で100パーセント完ぺきは、まずありません。
精度85パーセント(2019年時点)の「線虫がん検査(N-NOSE)」も、とうぜん完ぺきではありません。
陰性という結果が出たばあいでも、実際にはがんがあるケースもあり得ます。
ですから、「線虫がん検査エヌノーズ」で陰性だったとしても、通常のがん検診を受けなくてもよい、ということではありません。
また、
「エヌノーズ(N-NOSE)」で、進行が早いがんなどを早期ステージで見つけられれば治療に結びついて良い結果を得たり、命拾いできることもあるのはいうまでもありませんが(本来それがエヌノーズ(N-NOSE)や通常のがん検診をうける目的です)、
がんによっては、早い段階で見つけても、進行があまりにも遅いために、そのひとの寿命に影響のないがんもあります。
そのばあい、
「がんあり」という結果で精神的経済的な負担をかけたことが、無駄になることもありえます。
血液での検査方法「マイクロRNA」は精度99%で実証実験段階
いっぽう、血液での検査方法の「マイクロRNA」は、
東芝が東京医科大と国立がん研との共同研究ですでに開発はできているものの、
2020年現在、実証実験に入った段階で、血液での検査方法の「マイクロRNA」での検査をわたしたちが依頼できるのは1~数年後のようです。
なんと、たった一度の検査で精度99パーセントの結果がえられるそうです。期待したいですね。
血液での検査「マイクロRNA」って…
血液中のがん細胞から多く分泌される「マイクロRNA」と呼ばれる分子の濃度の測定で検査できるというもの。
特定のマイクロRNAの組み合わせで、がん患者と正常な人を高い精度で見分けられます。
がんの人とがんでない人を99%の精度で見分け
血液での検査方法「マイクロRNA」は、すい臓がんや胃がん、乳がんなど、13種類のがんを検出できます。
専用の小型検査装置を開発できたことなどで、2時間以内の検査で、
・がんの人とがんでない人を99%というきわめて高い精度で見分けられた
・ステージ0と呼ばれる超早期の段階でも分かった
そう。
精度99パーセントって、すごいですね。
ただ、現段階では、この検査だけでは、具体的にどのがんを患っているのか特定できないという点では「線虫検査エヌノーズ」と同じということです。
血液での検査方法「マイクロRNA」の検査費用2万円くらい?
血液での検査マイクロRNAの検査費用は、2万円程度に抑えられるようです。
一度の血液検査で13種類のがんを検出
一度の検査で、13種類のがんを検出できるそう。
13種類とは、
胃がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓(すいぞう)がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、ぼうこうがん、乳がん、肉腫、神経膠(こう)腫 です。
*参照・引用:文春オンライン、NHK特集、エヌノーズ(N-NOSE)サービスサイトほか
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